「将来への不安はどうすれば解決できますか?」
「将来のことを考えると憂鬱になる」「人生はつらいことばかり」と多くの方が落胆します。実はある意味、これは当然なのです。この世界の一切は物理学の法則に従っており、その法則によれば、すべての物質的存在は破壊し、消滅するからです。これは“エントロピー増大の法則”といわれる物理学の基本則です。
分かり易く言えば、これは仏教でいうところの“諸行無常”、その帰結としての“生老病死”です。従って、私達は本質的に苦悩する生きものといえるでしょう。その特性が将来に対して尽きせぬ不安を呼び起こすのです。これが人類三千年の歴史が明かした人間の真実です。
これを「つらくない」という人がいるとしたら、それはかなり特別な環境にいるということです。
では、この不安はどうすればよいのでしょうか?
これに対処するには今の所、一つの方法しかありません。
自分が破壊し、消滅するのを事実として認めた上で、その解釈や視点を変えることです。
人類は多くの試練を乗り越える中で、苦悩を癒す特殊な智慧を磨いてきました。
特に、日本人は、世界に例を見ない“無常観”や“もののあはれ”といった独特な美意識を生み出しました。
なぜそれで苦難に負けずにいられるのでしょう?
将来に希望を見出せないなら、普通は“絶望”しかないはずです。その証拠に、西洋哲学では“実存主義”や“プラグマティズム”など、相対的な真実に頼るしか術がありませんでした。
それに対して、私達の先祖は、背後に、より大きな摂理を認め、そこに身を委ねる能力を獲得しました。それが世界への“信頼”です。そこには、世界に内在する美徳を捉える深い世界観と同時に、一度きりの限りある人生に対する憧憬にも似た気持ちがあったのかもしれません。
本カリキュラムでは、自分の人生を整理し、そこに普遍的意義のあるストーリーを見出します。そして、残りの人生を“個”を超えた視点で捉え直し、自分が納得できる最高の人生をデザインします。その過程で醸成される覚悟が、将来への不安を除いてくれると共に、分かっている人生を歩むことに安心感を覚えるでしょう。
2025年06月06日 14:30